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築114年の古材と思い出を残した新築

築114年にも及び、施主自身も10年ちかく手入れをしながら住んできた古民家が、いよいよ大規模な改築をするか、取り壊して新しい建物を建てるか、となりました。愛着のある建物を何とか残したい気持ちはあれども、雨漏りがひどく、床下の土台も水が入って腐ってしまっています。しかし、屋根裏を覗くと、100年以上この家を支えてきた梁はまだまだ立派なものでした。

この梁を構造部材として活かした家を新たに建てよう、そう決まりました。そうなると、古い家を重機で一息に打ち壊すわけにはいきません。瓦や屋根、外壁をていねいにはがして骨組みだけにした後、梁を1本1本、順番に取り外して、洗い、乾燥させます。そして、ふたたび組み上げられ、新しい家の屋根を支えています。そのほかにもまだ使える部材が再利用され、新しい家の各所に配されています。 

本格的な家具づくりの趣味がある施主だからこそ、設計や建築作業にもしっかりと携わり、文字どおり、ともにつくりあげた家となりました。

木や石など自然物に囲まれているのが居心地よい人とは、木をふんだんに用い、基礎の束石(つかいし)も自然石で。煙突や雨樋の掃除を自分でやりたい人とは、屋根の勾配をゆるやかに。デザインを重視したい人とは、細部までとことんあこだわりきった建物を。

そんなふうに、施主の思いを丁寧に汲みとり、「いい塩梅」でバランスよく形にしていく。それが直木工房の目指す仕事です。

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